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純国産ひ榊「神楽」の産地訪問レポート特集

 神楽の栽培地である静岡県富士市を訪れ、神楽が育つ環境や栽培方法に触れながら、その魅力を深く実感しました。神楽は、特別な土地とこだわりの栽培方法によって育てられており、その品質に対する細やかな配慮が随所に見られます。この特集では、神楽の栽培地とそのこだわりの栽培方法、さらに生産者の神楽づくりへの思いをお伝えします。

富士山の麓で育つ神楽

 神楽が栽培されているのは、静岡県富士市の美しい自然環境です。訪問した日は晴天に恵まれ、富士山がその雄大な姿を誇示していました。東海道新幹線新富士駅に到着し、車を進めながら見える富士山の大きさに圧倒され、この雄大な自然環境が神楽の栽培にぴったりな場所だと感じさせられました。

 神楽の畑は富士山の麓、標高400mほどの場所に広がり、周囲には美しく整備されたお茶の畑が広がっています。静岡県はお茶の生産地として有名で、富士山の恵みを受けた土壌と気候が神楽の成長に理想的な環境を提供しています。この土地で栽培されるお茶も、神楽にとって非常に適した環境を作り上げており、品質の高い榊が育成されています。

富士山を望む静岡県富士市の風景

神楽の栽培方法とこだわり

 神楽の栽培において特筆すべきは、その計画的な栽培方法です。神楽の木々は1m間隔で整然と並べられ、これにより風通しが良くなり、ストレスなく育つことができます。この配置は神楽の栽培において非常に重要であり、植物同士が干渉せず、健康的に成長するための環境が整えられています。

 また、神楽の栽培では寒冷紗を使用して光の量を制限し、葉に深みと艶を与えるという過程が行われます。この「お化粧」のような過程を経て、神楽は最盛期の美しさを迎えます。このような細やかな栽培管理は、神楽の品質に直結しており、その特別な輝きと深みを生み出しています。

土づくりと自然環境の活用

神楽の栽培において最も重要なのは、土づくりです。富士山の麓の土地は、火山灰を含むふわふわな黒土が特徴です。この土壌は水はけが非常に良く、栽培にとって理想的な環境を提供します。火山灰が混じった土地は軽く、通気性もよく、神楽の根がストレスなく成長できるため、品質の高い榊が育成されます。

さらに、この土地には苔の栽培も盛んに行われており、高湿度の環境が育む苔は、非常に高い品質を誇ります。この苔は京都などの庭園にも納品されるほどで、富士山の周辺の豊かな環境が、神楽を育てるための最適な条件を提供しています。

特に、富士山から吹き降ろす風には、適度な湿度が含まれており、この湿度が神楽の葉の乾燥を防ぎ、品質の劣化を防ぐ役割を果たしています。富士山から吹く風は常に新鮮な空気とともに、葉に必要な湿度を与え、神楽が常に瑞々しい状態を保つために重要な要素となっています。

富士山の火山灰が含まれた黒土

耕作放棄地の再利用と環境への配慮

 富士山の周辺は、土地の質が高く、神楽に最適な環境を提供してくれる場所です。神楽が育つ畑には、かつてはお茶畑が広がっていたものの、近年では耕作放棄地となっていた部分が多くあります。耕作放棄地となる理由は様々で、生産者の高齢化、担い手不足などが主な要因です。また、ペットボトルのお茶の普及とともに家庭でお茶を注いで飲む習慣が減少した結果、高級茶葉の需要が減少志津づけてきていることも原因の一つと言われています。

 しかし、神楽の生産者であるWさんはこのような土地を再利用し、豊かな自然環境を活かしながら新たな栽培地として活用しています。このような耕作放棄地の再利用は、地域の農業を支えるとともに、持続可能な栽培方法を実践する一環として非常に重要な取り組みです。神楽はこれらの土地を再生し、農業を持続可能な形で支える手段として栽培されています。この再利用により、土地の有効活用が進み、神楽の栽培環境が新たに作り上げられています。

休眠中の畑(かつては茶畑)

神楽の成長と収穫

 神楽の成長は非常に順調で、栽培期間中、植物は光合成を充分に行い、葉は深緑色に艶を帯びて育ちます。この間、栽培に関わるスタッフは細心の注意を払い、必要に応じて環境を調整し、最良の状態を保つよう努力しています。収穫前には寒冷紗を使って光を制限し、最終的に美しい艶と深みを持った神楽が完成します。また手を広げたような平らな葉は神楽の製品としての美しさを際立たせます。

 収穫は神楽の最も重要なプロセスであり、そのタイミングや方法は非常に重要です。神楽は適切な時期に収穫され、その品質が最大限に引き出されます。収穫後は、神楽は見た目にも美しい形を保ちながら、さらに新しい命を育むための準備が整えられます。

成長する神楽

神楽の未来と生産への思い

 生産者であるWさんは、神楽が今後この地域の産業の一つとして、地域にとって重要な存在になることを大いに期待しています。「神楽がこの地域にとって名産となり、より多くの人々に愛されるように育てていきたい」と語っており、その熱い思いが伝わってきます。また、「植物にはその土地に適した環境があり、その環境で育つことで品質も保たれ、お客様に喜んでもらえる」とも語っています。この言葉には、神楽の栽培における真摯な思いが込められており、彼の努力と情熱を感じることができます。

神楽は、自然の恵みを最大限に活かし、こだわりの栽培方法で育てられています。生産、組み立ての工程をすべて日本国内の最高の条件の場所で行う「純国産榊」。これからも地域の名産として、そして持続可能な農業の一環として、神楽は成長し続けることでしょう。

新たな芽吹きと順調に育つ神楽