お正月の神棚を、清らかに、美しく。正花園のブランド榊「神楽」でつくった「迎春神楽」の特集です。
正花園「迎春神楽(げいしゅんかぐら)」
お正月の神棚飾りに欠かすことのできない「榊(ひ榊)」。正花園の 迎春神楽 は、正花園のブランド榊「神楽」に、国産小枝松と南天の実(フェイク)をしつらえた、お正月専用の神棚飾りです。
榊は神事において最も重要な植物のひとつ。そこに、お正月を寿ぐ「松」、そして「難を転ずる」という意味を持つ縁起物・南天の実を添え、一年の始まりにふさわしい、清らかで華やかな装いに仕立てました。


冬だからこそ実現できる、抜群の品質と日持ち
迎春神楽に使用している「神楽」は、一年の中でも最も品質が安定する冬季に出荷される榊です。
低温期に育った榊は、葉の色は深く、艶があり、張りも良く、日持ちの良さにも定評があります。
お正月の期間はもちろん、条件が整えば 1月の間、水の補充だけでも十分に美しさを保つことが可能です。
深く輝く緑の葉に、
生き生きとした国産小枝松、
光沢のある南天の実の鮮やかな赤。
新年の神棚に、凛とした清浄感と、晴れやかな縁起を添えます。
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お正月が終わったあとも、続く美しさ
迎春神楽は、お正月が終わった後、小枝松と南天の実を取り外すことで、通常の「神楽」としてそのままお飾りいただけます。
一度きりで終わらない、神棚にふさわしい榊として、長くお使いいただけることも迎春神楽の特長です。
お正月が終わった後も長持ちさせるコツ
「神楽」を長持ちさせるコツは神楽の特性を知ることです。神楽の強み、弱みを覚えておくことで驚くほど長持ちします。
水を切らさない
神楽は水分を非常に多く吸い上げます。鋭い延命力があるのは水をしっかりと榊の体内にとどめておくDNAが神楽に備わっているからです。
切り戻しは「原則」行わない
神楽は枝に水分が供給できている間は基本的には切り戻しを行う必要はありません。道管が詰まりにくいので、枝が乾いてしまわない限り切り戻しは必要ありません。

金沢に根づく「天神」というお正月文化
正花園のある石川県金沢市では、お正月に「天神(てんじん)」と呼ばれる飾り物を神棚に供える風習がありました。天神は、コミと呼ばれる藁製の土台に松の枝を立て、苔や萩、赤い実などをあしらい、全体のバランスを整えたお正月の縁起物です。かつては金沢を中心に広く流通し、多くの家庭で新年の神棚を彩ってきました。
天神づくりを支えてきた、見えない苦労
天神の生産量が減少している理由は、生産者の高齢化や担い手不足だけではありません。天神の材料のほとんどは、「地元で採れる天然素材」によって成り立っています。
コミをつくるためには、稲刈り後に出る藁を集め、乾燥させて保管します。手作業で編み、保管を行わなければなりません。秋に採れる萩も、使用するまで干して乾燥させておく必要があります。松ぼっくりは、バランスに大きく影響するため、直径約3センチ前後のものを選ぶ一年を通して少しずつ拾い集めるという地道な作業が欠かせません。
苔は本来、長い年月をかけて育成するものですが、天神では「貼り苔」という方法が使われてきました。梅の木などに付着した苔をそぎ落とし、粉末状にして貼り付けるという、手間のかかる技法です。赤い実については、損傷や陳列時に実が落ちてしまうリスクを避けるため、やむを得ずプラスチック製のフェイクが使われてきました。

生産減少に拍車をかけた「素材調達」という壁
このように天神づくりは、材料の調達に長い年月と多大な手間暇を要する仕事です。その負担は年々大きくなり、天神の生産量減少に拍車をかける要因となっていきました。
量販店に並ぶ、中国産の天神
生産量が年々減少する中、天神自体の価格も上昇を続けました。もちろん国産の天神も販売はされるものの、スーパーなどの量販店では、一部それを補填するために中国産の天神が販売されるようになりました。松には造花が使われ、藁は輸入制限があるため、イグサなどの輸入可能な素材に置き換えられています。
お正月の時期が近くなると、大きなワゴンの上に、中国で大量生産されたプラスチック天神が
山積みにされ、販売される光景も珍しくありません。

正花園が続けてきた、小さな支え
正花園では、少しでも天神の生産量を確保するため、生産者が自ら用意することが難しい赤い実(フェイク)の元受け製造を行い、生産者の方々に供給してきました。
しかし年々、その赤い実を求める生産者の数も、求められる数量も減っていく。その現実を、正花園は強く感じていました。
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新しい形の「縁起物」をつくるという決断
「お正月に飾る、新しい形の縁起物を提案したい」。その思いから、3年の歳月をかけて形にしたのが「迎春神楽」です。日本人が日本人らしくお正月を祝うために、純国産の榊を使い、純国産の松を寿ぎ、神棚に飾ってほしい。
それが迎春神楽の原点でした。
天然の南天に挑み、辿り着いた答え
本来であれば、赤い実も天然の南天の実を使いたい。試行期間の3年間には、実際に天然南天を使用し、試験販売を行った時期もありました。しかし、実の出来にどうしても差が出てしまうこと、数万束という単位で扱う中で、保管時に実が黒く変色してしまうことなど、あらゆる策を講じても、安定した品質での実用化には至りませんでした。
「本物以上に美しい」赤い実を目指して
天然の南天の保管、品質改善に取り組む一方で、正花園では「どうすれば、本物らしく、いや本物以上に美しく表現できるか」という研究もなされました。
すべてを同じ素材のプラスチックにするのではなく、枝と実の素材を分け、着色する色味や艶にも徹底的にこだわる。研究と試験販売を重ね、すべての商品に差のない、美しい赤い実が完成しました。

迎春神楽を、「広める側」へ
正花園が迎春神楽のために費やした3年は、単に商品を作るための時間ではありませんでした。どの榊を選び、どのようにしつらえれば、日本人が「お正月らしさ」を感じ、心から喜んでいただけるのか。その答えを探し続けた時間でした。そして今、正花園は新しいステージに進もうとしています。それは、迎春神楽をつくる側だけではなく、広める側へという役割です。
生の榊と若松を、もっと多くの人へ
迎春神楽は、生命が宿る生の榊と若松を使った神棚飾りです。それを、一部の人だけのものではなく、より多くのお客様に届けるために。正花園では、数万束規模でも安定供給できる量産体制と仕組みを整えてきました。
その結果、一部のスーパーなどでは「迎春神楽」という名で、正花園のブランド榊として販売されるようになっています。
他店・他社でも商標使用を可能に
「迎春神楽」「神楽」は、正花園の登録商標です。しかし正花園では、この取り組みを自社だけのものにしたいとは考えていません。できるだけ多くの方に、同じ思い、同じ形でお正月の神棚文化を広めていただきたい。そして、品質のよい榊を販売して生花店の方にもお客様から満足していただきたい。その考えから、正花園では「神楽」および「迎春神楽」の卸売販売を行っています。
また、正花園から卸売りする「神楽」「迎春神楽」に限っては商標の使用を許可しています。

一社ではなく、地域全体で文化をつくるために
「神楽」、「迎春神楽」を取り扱うのは、正花園一社だけで完結するものではありません。地域の生花店様、スーパーマーケット様、ホームセンター様などの量販店様、ドラッグストア様などなど。多くの販売の担い手が一緒になって取り組むことで、はじめて文化として根づいていくと考えています。
迎春神楽は、売るためだけの商品ではなく、金沢の日本のお正月を、神棚を通して未来へつなぐための提案です。正花園はこれからも、共に文化を育てていただけるパートナーの皆様とともに、迎春神楽を広めていきたいと考えています。
金沢のお正月文化を、次の世代へ
金沢には、お正月に神棚を飾り、年の始まりを敬う文化があります。その文化の火を、ただ守るだけでなく、今の時代に合った形で継承していくこと。迎春神楽は、そのための一つの答えだと、正花園は考えています。新しい形でお正月の神棚をしつらえ、文化と伝統を、次の世代へ。
正花園はこれからも、迎春神楽とともに、金沢のお正月文化を未来へつないでいきます。
